2012年7月24日火曜日

「オーストラリアが21年間不況知らずというのは世界記録だ」

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NICHIGO PRESS 2012年7月23日
http://nichigopress.jp/ausnews/economy/40758/

「鉱業ブーム今後徐々に沈静化、財政黒字に影響」
デロイト・アクセス・エコノミクスのビジネス展望

 7月23日付で発表されたデロイト・アクセス・エコノミクス社のビジネス展望6月報告書は、鉱業ブームが間もなくピークを迎え、その後は経済鈍化も不可避で、連邦政府が今年度中に財政黒字を達成することは難しいだろうと予測している。

 ジュリア・ギラード連邦政府はこれまで一貫して2012年度中の財政黒字回復を至上命令に掲げてきたが、同報告書は鉱業資源価格低落、住宅部門の活動鈍化、金融市場の停滞などから政府歳入が下落すると予測している。
 同時に、鉱業部門は依然オーストラリア経済成長を推進しており、中国やヨーロッパの経済の低迷に対して防壁の役割を果たすことができるとしている。

 同社のクリス・リチャードソン氏は、
 「連邦政府はさらに支出を削減するか、一部プロジェクトを延期する必要がある。
 また、2,3年後にはさらに鉱業資源需要が低下する。
 永久に巨額の金を鉱山プロジェクトに注ぎ込み続けることはできない。
 もし、財相が2か月ほど前でなく、明日に予算案を出していれば、財政は赤字に逆戻りしていたことだろう」
と分析している。

 しかし、連邦政府は、同社の分析を否定し、経済鈍化はすでに予算案に折り込み済みとしている。
 これに対して、ジョー・ホッキー影の財相は、
 「政府は鉱業部門収入に頼りすぎている。
 増税ならもっと将来にすべきだった。
 保守連合はこのことを2年間警告し続けてきた」
と語っている。

 ところが、リチャードソン氏は、
 「どの政治家も財政を黒字にすることばかり強調しており、予算削減を追及する余り経済成長を阻みかねない。
 経済成長はこれまで順調だし、失業率もインフレも低い。
 もちろん、困難はあるし、困難が大きくなっているという意見もある。
 しかし、ちょっと立ち止まってバラの香りをかいでみてはどうか。
 オーストラリアはこれまでかなりうまくやってきたのだから」
と保守連合に対しても批判を加えている。

 また、
 「2014年以降、鉱業州のWA、QLD両州と北部準州では、生産コストと利潤減少が大きく影響するようになるだろう」
と予測しているが、同時に、非鉱業部門経済が徐々に回復し始め、オーストラリア全体の経済はそれ以降もかなりの力を維持するはずとしている。
 また、
 「オーストラリアが最後に不況を脱したのは21年前で、21年間不況知らずというのは世界記録だ」
としている。(NP)




NICHIGO PRESS 2012年7月24日
http://nichigopress.jp/ausnews/politics/40807/

「QLD州は破産寸前。豪州のスペインにもなり兼ねない」
ニューマン自由国民党州首相が政府間評議会前に

 7月24日、連邦政府と州、準州政府が集まって協議する全豪政府間評議会(COAG)を翌日に控え、キャンベラを訪れているQLD州政府のキャンベル・ニューマン州首相は、
 「前労働党州政府の下手で無謀な財政運営のため、QLD州は破産している、いや、破産に向かっている」
と語った。

 ニューマン氏は、
 「仮に、現在の州公務員204,000人が明日から20,000人減ったとしても、州の財政赤字は10億ドルを超える。
 QLD州は破産に向かっている」
と発言した。

 また、QLD州南東部ギンピーの町で、
 「全国障害保険制度(NDIS)を試験導入する意志に変わりはないが、州財政はNDIS基金を準備する余裕がない。
 連邦政府が基金を負担すべきだ。
 私の政府は、QLD州財政を黒字に転じるため、行動を起こすつもりだ。
 もし、その努力に失敗すれば、QLD州は、オーストラリア諸州のスペインという地位に転落するだろう。
 しかし、私達は思いきった措置を選んでいく覚悟であり、そのようなことは起きない」
と語っている。

 ニューマン州政権は就任以来、すでに3,000人の公務員を解雇している。(NP)




NICHIO PRESS 2012年7月25日
http://nichigopress.jp/ausnews/economy/40826/

国の経済展望はバラ色とスティーブンズ中銀総裁
野党や国民の間の「経済悲観主義」に歯止め


 7月24日、グレン・スティーブンズ中銀(RBA)総裁は、
 「オーストラリアが金融危機を比較的無傷で通過することができたのは幸運ばかりではない。
 我が国の経済成長記録は今後も続くと信じる理由もある」
と語った。

 オーストラリア・ビジネス・エコノミストが主催する年恒例のアニカ財団昼食講演会で演壇に立ったスティーブンズ総裁は、
 「我が国にはしっかりした銀行制度があり、強靱な国家財政があり、変動為替相場があり、それらが世界的な不景気にもオーストラリア経済を守った」
と語った。

 さらに、
 「RBAの政策金利引き下げと連邦政府の経済刺激策の積極果敢さがオーストラリア経済を守り通した。
 通貨政策も財政政策もいずれも限界まで積極的に動員したが、2009年に私が言ったように、それが必要だったし、一旦緊急事態が去ってしまえば、政策を通常状態に切り替え、再度政策を発動できるよう事態を収拾していかなければならなかった」
と語っている。

 さらに、中国についても、大方の市場エコノミストとは異なり、かなり肯定的な見方をしており、
 「最近のデータを見る限り、これまでのデータでは、現在の中国経済の鈍化は循環的なものであり、2008年末近くに起きたような突然のスランプではない。
 データは一貫しており、中国工業の生産量成長率を10%前後、GDP成長率も7%から8%程度で続く
としている。

 また、国内不動産バブルが崩壊するという懸念も否定したが、すぐに住宅不動産が値上がりを始めると信じる向きにも用心を勧め、
 「住宅価格が下がることがないというのは非常に危険な考えだ。
 下がる可能性はあるし、実際に下がったことがある。
 過去の事例や海外の事例と比較になる範囲で単純に比較したところでそれが絶対的な証拠になるわけではない」
と、安易な類推で予測することをいましめている。

 その上で、グラフを示し、オーストラリアの対所得住宅価格はアメリカの約2倍だが、ベルギー、ニュージーランド、イギリス、カナダ、さらには住宅価格暴落後のアイルランドなどと似た水準にあると指摘している。
 さらに、この何年かの間に国民所得が上がり、住宅価格が下がったため、「住宅取得性」はかなり改善されてきた。
 また、銀行の住宅ローンの99%は滞りなく返済が進んでいる。
 不動産バブルがはじける兆候は現在より5年前の方が大きかった」と語ったが、最後に、
 「ただし、一般通念を簡単に受け入れない方がいいかもしれない。
 何事も決して起きないと決めてかかることは間違っている」
と結んでいる。(NP)



 不景気真只中にあるのがオーストラリア。
 国際評価では経済は順調だ、と言われている国だが、この発表はウソだらけ。
 その一州であるクイーンズランド州は、何しろこの5ケ月で4,400人の公務員のクビを切ったというスゴさ。
 更には2,000人切るという。
 話によると、公務員をゼロにしても、州政府は浮かび上がれないほどだという。
 資源輸出でプラスの西オーストラリア州を除けば、だいたい似たり寄ったりの州政府。
 QLD州も資源を豊富に抱えていて、輸出に力を入れてはいるのだが。


NICHIGON PRESS 2012年8月1日
http://nichigopress.jp/ausnews/politics/40992/

QLD、運輸行政でも大幅組織改革と公務員解雇
3月選挙以来、4,400人の公務員減らし

 7月31日、QLD州政府が、トランスリンクを州政府運輸幹線道路省に吸収し、運輸とQ-Buildで合わせて2,000人の人員を削減する計画を発表した。

 計画は州議会で発表されたもので、今年3月の州議会選挙でキャンベル・ニューマン与党自由国民党が90%近い議席を獲得するという異例な状態になっており、政府の法案は原則的にすべて成立する。
 そのため、この計画が進めば3月以来、6,700人の州公務員を解雇することになる。

 スコット・エマーソン運輸相は、QLD州南東部の公共交通機関のトランスリンクを省に吸収するとしている。
  そのため、トランスリンクの営利子会社で、道路建設や保守作業を請け負っているロード-テック社の600人などが解雇されるとして、「全体の18%、フル タイム雇用に換算して1970人を解雇することになる。この統合整理と解雇で今後4年間で州財政が2億8,700万ドルの節約になる。
 ロード-テック社の大幅改組はすでに進んでいる。
 これにより、QLD州州民にとって、ビジネスが公共事業請負入札する場合でも、州内を旅行する場合でも、これまでより改善されることになるはず」としている。
 さらに、ニューマン州首相は、Q-Buildでも解雇があることを明らかにして、
 「請負と臨時雇い合わせて300人以上を解雇し、78人を残す。人員カットする。申し訳ない。
 しかし、失業する勤勉な公務員諸君に言いたい。
 労働党政権時代の労働党州議会議員のところに行って、彼らに苦情を言いたまえと。
 この人員解雇、この人件費節約は、州政府財政を黒字に戻すためにはどうしてもやらなければならないことだ」
と語った。

 野党労働党党首のアナスタシア・パラスチュク議員は、
 「公務員は次は自分がクビを切られる番かと不安な毎日を送っている。
 すぐに解雇されなくてもいつかその日が来るかも知れないという不安定な状態に置かれている。
 州首相は、公務員は何も心配することがないと言ったことがあるが、今や公務員は心配でいっぱいだ」
と反論している。
 また、トゥゲザー・ユニオンのアレックス・スコット氏は、
 「政府は、公務員を解雇しなければならないのではなく、解雇したいから解雇しているのだ。
 ニューマン氏の選挙公約の犠牲として、行政サービス民営化の隠れ蓑として公務員減らしをしている。
 州政府の負債や赤字とは何の関係もない」
と語っている。

 先週、州政府は、3月の州議会選挙以来、公務員をフルタイム雇用換算で4,400人減らしたと発表している。(NP)




NICHIGO ONLINE 2012年7月31日
http://nichigopress.jp/ausnews/businessnews/40925/

自動車業界、フォード社国内生産停止の憶測
「国内自動車産業は再起不可能」との悲観論も

 7月30日、自動車業界に、
 「2016年以降にフォード社が国内生産を停止するのではないか」
の憶測が流れていると報じられた。

 自動車部品業界では、すでに、
 国内生産企業がホールデンとトヨタを残すだけ
という事態に備えた計画を建て始めている。
 また、フォード社は、自動車輸入関税引き下げ、競争力に優れた輸入自動車、消費者の買い控えなど悪材料が重なり、
 この何年間かは補助などに頼ってようやく事業を続けている状態
だった。
 7月初めには、400人を解雇すると発表、また国内生産台数も年間33,000台に切り詰めるとしていた。

 管財人企業PPBアドバイザリー社のスティーブン・ロングリー氏が、その憶測を明らかにし、
 「私の予測では、今後2,3年中に、フォード社がオーストラリア国内生産から撤退する。
 もちろん、それ以降も、日産、三菱、マツダのように国内での自動車販売を続けるだろうが、フォード社の生産基盤はオーストラリアから消え去るだろう」
と語っている。
 ただし、
 「残る2社、トヨタ社とホールデン社は、オーストラリア国内生産から撤退することはないと思う。
 なぜ、2社が撤退しないかというと、この2社の国内生産拠点は、世界的な自動車製造拠点に組み込まれているからだ。
 たとえば、この2社がオーストラリア国内で生産する車はオーストラリア国内でも海外でも販売することができるようになっている」
と分析している。

 ロングリー氏は、自動車産業に部品を供給している企業数社の解散を預かってきた。
 フォード社が国内生産から撤退するという見通しは、一部の自動車部品企業がすでに自動車生産2社時代を見越した体制に移り始めているとしている。
 また、
 「政府が自動車業界に金をばらまくこと自体、遅かれ早かれ自動車産業が撤退し仕事がなくなることを防ぐことはできない。
 フォード社も、連邦政府から3,400万ドルを受け取り、VIC州からもさらに多額の援助を受け、メルボルン工場でファルコンとテリトリーの生産を続けてきた。
 自動車産業を支援することは重要だが、
 オーストラリアはもう自動車産業が成り立たない
ということを受け入れるべき時ではないか」
としている。
 また、フォード社に対しても、
 「国内生産車種は、世界の現代的な需要に追随していない。
 家族連れの長期ホリデーと6気筒V8エンジンを積んだ大型車で国の端から端まで走り回るというのはもう古くさいオーストラリアの夢だ。
 フォード社には豊かな車種が揃っている。
 オーストラリアで作る車種が思ったように売れない車種というだけのことだ。
 しかし、他の車種なら、いい車がある。燃料効率もいいし」
と語っている。

 オーストラリア国立大学(ANU)経済学のウォーウィック・マキビン教授は、
 「フォード社の経営難は、豪ドルや炭素税を根拠にすることができない。
 むしろ、自動車産業の構造改革が必要とされている」
と語っている。(NP)


 オーストラリアは高賃金・高物価の国である。
 世界は今、デフレ経済に入っているのに、ここだけはインフレ経済を続けている。
 なのに順調と言われているのは何か。
 このデフレとインフレのギャップを資源輸出で支えているからである。
 そしてその最大の顧客が中国。
 中国が咳をすると、オーストラリアは風邪をひく産業構造になっている。
 資源とは無関係の企業、すなわち製造業は数年前からオーストラリアを逃げ出している。
 もう此の国にはまともな製造業は残っていない。
 昔は、「羊の背に乗るラッキーカントリー」と言われたが、
 今は、「大地の背に乗るラッキーカントリー」になりつつある。
 此の国に大きな期待はできない。
 よほどの経済改革がなされない限り、ジワジワと沈んでいくだろう。
 でも沈んだところで、豊かな地下資源で、さほど苦労もせずにやっていかれるということは事実で、
 「パッピー、ラッキーカントリー」
なのである。



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